お子様をお育ての皆様は、元気で健やかに育ってほしいと、いつもお考えだと思います。では、子供のお口の健康はだれがするものなのでしょうか?「子供が自分で行う」、「家族が予防する」、「歯医者さんが予防する」・・・。
どれも単独では困難であると思います。子供のむし歯予防は、ご家庭の保護者の方と歯科医院(歯科医師・歯科衛生士)がお互いに協力することで達成することができると考えます。また、お互いの信頼関係を築くことができるようになると、日常の小さな疑問や心配事などを早期に相談することができ、お口にかかわる病気を早期に予防することができます。
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乳歯の本数、永久歯の本数はご存知でしょうか?乳歯と永久歯には本数だけでなく、形、咬み合わせ、機能など様々な面で違いがあります。生え変わりがあるからといって、むし歯や歯周病放置しないで、子供の歯も早めの治療を心掛け、お子さんのお口の健康に関心を高めましょう。
乳歯は白色に近く、永久歯は黄色味を帯びている。年齢とともに色が濃くなる | |
乳歯の方が永久歯よりひとまわり小さい。あごの大きさとの関係のため | |
乳歯のエナメル質・象牙質の厚みは薄く、永久歯の半分程度である。 また、乳歯は石灰化度が低くやわらかい性質をもつ。 |
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乳歯の本数は、20本。 永久歯は28本(親知らずを含めると32本)。 |
乳歯から永久歯への生え変わりは、一般的には、6歳から、12歳前後に行われます(親知らずを除く)。
まず、6歳頃から下の前歯(切歯)が生えかわり、次に上の前歯の生えかわりがおこります。
そして、10歳の後半から11歳で犬歯と小臼歯が生え変わり、12歳前後に全ての歯が永久歯に生え変わります。
周りの同世代の子供が永久歯に生えかわり始めているのに、自分の子供の歯は生えかわらないと心配される保護者の方が多いですが、永久歯に生え変わる時期や順序には半年から1年ぐらいのずれがありますので過度に心配される必要はありません。生えかわりがご心配の方は、歯科医院でレントゲン写真を撮影することで、永久歯との生えかわりの様子を確認することができるので、ご相談されることをお勧めいたします。
乳歯から永久歯に徐々に生え変わる時に、体の成長と共に顎の大きさも徐々に発達します。乳歯よりも永久歯の方が形も大きく本数も大きいため、この顎の成長と歯の生えかわりとの調和がうまくいかなくなると歯並びに影響することがあります。
歯並びは口腔ケアを行うにあたり、将来のむし歯や歯周病へのリスクを高める要因になりますので保護者の皆様は、この時期は特にお子さんのお口に注意を払ってください。場合によっては、生え変わりする前に矯正治療する事もお考えください。
乳歯が深いむし歯になったまま放置しておくと、後から生えてくる永久歯は乳歯の下で成長しているため、歯胚が傷ついて、歯の色や形、歯並びに影響する事があります。
幼児は生え変わりがあるから大丈夫だとむし歯を放置しないで、歯医者さんにかかる事が大切です。子供の歯も早めに治療し、定期的な検診を受けることが予防の近道です。
子供のむし歯を予防するにはただ単に歯を磨くだけでは十分ではありません。以下の3つの基本を覚えておいてください。
一日3度の食事はきちんと採ることが大切です。そしておやつ(間食)は一日1回程度を目標にしましょう。お口に入る食べ物や飲み物には多くの糖分が含まれています。つまり、糖分に触れる回数が多くなったり、長時間だらだらと飲食しないように注意しましょう。適切な時間に食事や間食を行うことで、食生活
日常の食生活ではバランスの良い栄養を規則的に摂りましょう。健康な身体を作ることで脂質の強い歯を作るだけでなく、清潔な口腔環境となります。また、年齢に応じたフッ化物の応用を行うことでむし歯に負けない強い歯になります。
歯ブラシによる正しいブラッシングとデンタルフロスを使ったフロッシングで、むし歯菌の塊であるプラーク(歯垢)を取り除くことができます。むし歯の一番の原因であるミュータンス菌を減らすことが予防の第一歩ですが、子供のブラッシングだけではなかなか取り除くことができません。日常のホームケアで
むし歯予防はお子様の成長に合わせてポイントがかわってきます。もちろんお口の状態はお子様によって様々ですので、
信用できるかかりつけの歯科医師と相談していきましょう
生まれたばかりの乳児は歯が生えていませんが、この時期から将来にむけてのむし歯予防は始まっています。
お子様の顎の骨の中では、将来生えてくる乳歯の形成と石灰化が始まっています。したがってこの時期には栄養学的に免疫学的にも重要な母乳での育児のお勧めいたします。お母さんの健康がお子様の健康と成長に影響する重要な時期となります。
生後6カ月を過ぎると乳歯が生え始めます。まずはじめに前歯が生え始めて、順に奥歯が生え始めます。1歳ごろから歯ブラシでのブラッシングをスタートさせますが、離乳食、幼児用食は歯につきやすいネバネバしたものが多いので注意しましょう。
この時期からブラッシングの練習を始めることで、赤ちゃんにとってお口のケアが"嫌なこと"・"不快なこと"にならないようにすることも目的の一つです。この時期は間食も少なく、唾液(だえき)の自浄作用で十分清潔に保つことができるので、しっかりと磨くよりも慣れさせる感覚で。はじめのうちは、みがくというより、歯ブラシに慣れる気持ちでゆったり構えて始めて下さい。
最近は、赤ちゃんを対象とした口腔ケアグッズも発売されてきていますので参考にしてください。
乳歯の時期の全般にいえることですがフッ素を応用することで、歯の表面のエナメル質を強くし、むし歯になりにくくします。
むし歯のリスクの高いところは(咬み合わせの面、歯と歯の間、歯と歯肉の間)です。これは乳歯においても同じです。
2歳を過ぎると、
一番奥の乳歯である「第二乳臼歯」が生えてきます。奥歯は咬み合わせも含めて大変複雑な形をしており磨き残しであるプラークが蓄積しやすい場所です。また、乳歯列が完成し様々な食べ物を摂るようになるとこの年齢で自分磨きをさせると、この部分はどうしても磨き足りなくなる部分ですので、保護者の皆様の協力が不可欠です。
なお、仕上げみがきと自分みがきは、並行して始めて下さい。保護者の方が磨いてあげる「仕上げみがき」と、子どもたちが自分で磨く「自分みがき」は、並行して行うのが基本。早いうちからマイ歯ブラシになじんでいれば、自分みがきへの移行も難しくありません。
お子様は成長期を迎え、3度のご飯の他に適度な間食が必要になります。しかしながら、この間食を与える時間、量、種類には注意が必要です。「むし歯の予防の欄」でも述べましたが、間食は与える時間よりも回数に特に注意が必要です。唾液の作用である緩衝作用、再石灰化作用を十分考慮に入れて下さい。おやつは甘いものである必要はありません。果物などを中心に与えるといいでしょう。
6歳前後になると、現在の乳歯列のお国初めての大人の歯(永久歯)である「第一大臼歯」が生えてきます。この歯を一般に「6歳臼歯」といい、大人の歯の中で噛み合わせに最も重要な歯となります。
永久歯といっても生えたばかりの歯は若葉のように軟らかく、弱いのでむし歯になりやすいので注意が必要です。しかも、歯磨きのしにくい奥歯であること、歯の溝が大変深いなどむし歯に対するリスクが大変高いため、気付かないうちにむし歯になってしまうことがあるので注意してください。
その後、
前歯を始めとする永久歯が次々と永久歯に交換していくので、この時期を「永久歯への交換時期」といいます。そのてこの時期は、子供は思春期を迎え保護者の皆様のお口への管理がいきとどきにくくなること、生えかわりにともなって歯磨きがしにくくなることなど様々なリスクを抱えています。
歯の生えかわり時期「永久歯への交換時期」の予防には本人だけでなく家族、歯科医師ならびに歯科衛生士の協力が必要です。面倒でもお子さんの毎日のブラッシングの後は、保護者の皆様のチェック、仕上げ磨きを欠かさず行い、ブラッシングに対する習慣を身につけさせる必要があります。そして、定期的な歯科医院での検診によって、ブラッシングの大切さ、健全な歯を維持することの重要性、フッ化物を応用することで、 むし歯菌に負けない強い歯を作ることなどを行っていきましょう。この時期は、永久歯はまだまだ未熟ですが、逆にフッ素を取り込みやすいという性質を持っていますので、この時期にこそ歯科医院での定期的な健診(メインテナンス)が必要と考えます。
様々なむし歯予防に対する対策のポイントをまとめてみましたが、実際に実行に移すのは大変なことです。
子供のむし歯は、痛みをあまり感じない上に進行が早いので、気づいたときには重症となっていることが多々あります。
少なくとも3ヶ月から半年に1度は、かかりつけの歯科医院でお口の健康チェックを行い、むし歯があれば早めに治療するのがベスト。お子さんにとっても、小さなむし歯のうちの治療は負担が少なくて済みます。特に乳歯は、生え変わるから大丈夫と放っておくと永久歯の色や形、生え方に影響することがありますので気をつけましょう。
大人は自分の健康は自分である程度管理することができますが、子供はそうはいきません。様々なむし歯予防策がありますが、おうちでできること、歯科医院がお手伝いすることとを分けて適切な予防方法を行っていきましょう。それには、お口の健康についてどんな些細な事でも気軽に相談できるかかりつけの歯科医院を見つけて定期的に検査とフッ素などの専門的な予防策を講じていくことが最も近道であると考えています。
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